小説家を目指している方、ブロガーの方、読まない方がいいです。『夢を売る男』百田 尚樹
「永遠の0」で有名な著者で内容も面白くこちらもお勧めしますが、今回はこちら『夢を売る男』を紹介したいと思います。
ブログタイトルの通り(←逆に本当に読んで下さい)、とてもセンセーショナルな内容です。
内容がかなり際どいので、映像化は難しいと思いますが...ある出版会社の話です。
誰しも一度は小説家を目指したいと思った事があると思います。
しかし、作家デビューして多くの方に読んでもらえるのはほんの一握りなのは周知の如くです。現状、小説家一本で生計を経てている方は、ベストセラー作家くらいであると思います。さらに現在はSNSの普及や映画、ゲームなど娯楽が多様化により、小説離れ、活字離れが加速度的に進んでいます。
その現状を踏まえて読んで頂けると、大変面白いと思います。出版業界の裏側が分かる衝撃的な内容です。
また会話メインで展開が進みますので頭に入りやすいです。また主人公の毒舌と頭の回転の良さで、ストーリーについついと引き込まれてしまいます。
百田さんの著作はどれも専門性が高く構成も素晴らしい物が多く、大変面白いです。同じ著者が執筆されたものとは思えない程、どれも徹底的に取材や資料を調べ込んでいると思います。
本当に面白いです。ブログのタイトルとは正反対です。是非読んで下さい。
〜以下ネタバレ含みます。注意〜
本を出版したい執筆者とジョイントプレス(自費出版)という形で、執筆者と出版社(モデル:文○社?)が折半して本を出版しようという話です。
しかし実際は著者に全額負担して、出版会社は出版に関する費用は1円も出さない。
その執筆者は本を書きたがる人(←売れると信じ込んでいる一般人)をターゲットにします。例えば自分はスティーブ・ジョブズになれると思い込んでいる、本当は何も動いていない自由人の若者や、周りのママ友とは自分は教育論やレベルが違うという自意識過剰な主婦などキャラクターが一癖も二癖もある人物ばかり登場します。
そこへ牛河原部長(主人公)が言葉巧みな話術と相手の性格や心理状況を見極めた切り返しなどで、ジョイントプレスの方向へ持っていくという。
そして発行部数により夢の印税生活が送れますよと提案します。そして本当に儲かるんだと思わせる為に、会社の玄関や応接室は豪華な内装、美人の受付にして執筆者を信じ込ませます。
牛河原部長が作中でこの様な発言をしています。
「俺たちの仕事は客に夢を売る仕事だ」
この作品の凄みはこの一言に尽きます。
この後も怒涛の展開になります。あろう事かライバル会社が真似をして対抗してきます。そこで一旦は窮地に陥ります。しかし、この困難も牛河原部長の強烈な剛腕と発想で乗り越えてしまいます。そして文末の終わり方もスッキリとした後味もよいです。
何度も言いますがこの本は本当に面白いです。是非一読を...