「武道館」朝井リョウ

 

武道館 (文春文庫)

武道館 (文春文庫)

 

 

アイドル好きならオススメの本があります。

 

朝井リョウの「武道館」

 

昨今は数年前からアイドル戦国時代と言われおります。

2000年代後半はAKB48グループから派生して『乃木坂46』などの秋元康プロデュースのアイドル達、アイドル+ヘビメタのBABYMETAL、最近ではNizi Project(虹プロジェクト)の『NiziU』など、多くのアイドルグループが存在します。

群雄割拠と言われ、特に女性アイドルは輝ける期間が短いので、次から次へと登場していきます。

そこで売り出す側も、既存のアイドルとは別のアプローチや付加価値を行い、他とは異なるコンセプトを持たせ世間に提示し訴求しています。そうする事で「可愛いアイドル」+「α」で新たなアイドルファンがついてきます。

最近では総選挙、握手会、ジャンケン大会など話題に事欠かせなかったですが、2020年現在はコロナ禍の影響もあり、大規模な人が集まるイベント形式は難しい状況にあります。そしてライブ自粛傾向に陥ってしまいました。それに代わり「オンラインライブ」など新たなアプローチが展開されております。

話題は変わり、2020年の年末恒例、紅白歌合戦ではAKB48が落選というニュースがありました。一つの時代の終了となったのかと感じました。近年はヒット曲が無く妥当や当然といった声がありました。 毎年、同じヒット曲ばかりでは飽きてしまう、メンバーの新陳代謝が激しく卒業し大幅な入れ替えがあり、3期4期生とどんどんと増えていくと誰が誰だか分からないといった辛辣な意見も、これもアイドルあるあるですかね。。

 

前置きが長くなりましたが、そんなアイドル達を事細かく分析した作品が『武道館』です。武道館はアイドルでなくとも、音楽アーティストなら誰でも一度は憧れる聖地と呼んでも過言ではありません。

現在は東京ドームや大阪ドームなどの方が集客人数も多く、憧れる方が多いのですが、伝統と格式で武道館を目指しているアーティストは未だに多いです。

 

朝井リョウと言えば「桐島、部活やめるってよ」が代表作です。それに加えて「何者」

人間の本質や心理描写を細かく表現し描いている作風が多い事で有名です。

アイドル好きを公言している朝井リョウの徹底した分析力は度肝を抜かれます。

アイドルならではの「恋愛禁止」「スルースキル」など特殊な環境に適応していくさまや能力が必要であると分析しています。

 

主人公は個性豊かなアイドルグループのメンバーの中の一人です。アイドルとして武道館ライブ開催を夢見ます。恋愛禁止の中、淡い恋愛を知ります。そしてアイドルと恋愛の中で葛藤に心揺さぶられます。この続きはどの様に展開していくかは読んでからのお楽しみです。

この物語はTHEアイドルといったフワッとした話では無く、アイドルを徹底的に分析したエンタテイメント溢れる人間ドラマになっています。アイドルの概念や見え方が変わると思います。

是非、一読を。